数式の美術館

Masaki Kato

数式的相性占い

2020
Work

数式の美術館とは

私が制作した数式を用いたメディアアート作品群を「数式の美術館」と呼んでいる。

「数式の美術館」は、ダ・ヴィンチに代表されるルネサンス期のように、芸術と科学の垣根がない社会を実現するために生まれた。
ガリレオ ・ガリレイは「自然という書物は数学の言葉で書かれている」と言った。芸術家が絵筆などを使って美しい自然の風景を描くように、数学者や物理学者は数字や文字を使って我々の世界を美しい数式で表現する。

「あらゆるモノを数式で表現する」を目標に、数式で表現される美しい世界の一端を味わえるような作品を制作している。

また、「数式の美術館」の名を冠したSNSアカウント(TikTok, Instagram, Twitter)で、作品を発表している。

物理学者が開発した新しい占い「恋」のキット&「愛」のキット

「数式的相性占い」では、キットを用いて占います。
キットは、「恋」のキット(お一人で体験用)と「愛」のキット(お二人で体験用)の2種類をご用意しています。

 左:「恋」のキット、右;「愛」のキット

それぞれのキットにはアンケートが入っています。「恋」のキットでは、気になるあの人との恋が実ったならばと仮定し、自身の価値観・幸せについて見つめ直します。「愛」のキットでは、大切な人との関係を長く続けていく上で、お互いにとって何が大切なのかを見つめ直します。

これらのキットでは、

・性格と恋愛傾向
・おふたりのマッチングパーセント(「愛」のキットのみ)
・未来の関係性 ex.)これから幸せなこと、不幸なことが起きた時に気持ちがどうなるか。

を占うことができます。

新型コロナウイルスによって、人と人の繋がりが大きく変化し、今後どうなっていくか誰にもわからない。そんな状況だからこそ、数式の強みである「未来予測」を用いて、物理学者が今までにない占いを開発しました。

占われた方が新たな発見をしたり、自身の価値観を見直したりできるきっかけに、この体験がなったと思っています。

心理学と物理学(数式)に基づいた未来予測とアート表現

数式的相性占いは以下のような2つのステップがあります。

① 占う対象の「過去・現在」を心理学的に分析する。
② ①に基づいて「未来」を数式的(物理学的)に予測する。

①心理学的分析について

参加者に簡単な質問(写真参照)に答えてもらい、

・性格や恋愛傾向
・おふたりのマッチングパーセント(「愛」のキットのみ)

について心理学的に分析します。

②物理学的(数式的)分析について

キットの回答を解析し、「未来の関係性」のデータをお届けします。

日々の出来事が幸福度にどのように影響を与えているのか?を分析し、「幸福度」の変化を数式で記述しました。(写真参照)この方程式を解くことにより、「未来の関係性」を予測できます。

「幸福度」の変化を予測するのみ使用した数式

数式をカジュアルに楽しんでもらいたいと思い、予測結果を一般的なグラフではなく、ジェネラティブアートとして表現しています。図形の中心がネガティブな感情を表し、外にいけばいくほど、ポジティブな感情になります。図形の色はその人の性格に対応しています。

参考文献

・Chamorro-Premuzic, T.,Reimers S., Hsu, A. & Ahmetoglu, G.(2008). Who art thou? Personality predictors of artistic preferences in a large UK sample: The importance of openness. British Journal of Psychology, 00, 1–16
・Fraley, R. C., Waller, N. G., & Brennan, K. A. (2000). An item-response theory analysis of self-report measures of adult attachment. Journal of Personality and Social Psychology, 78, 350-365.
・Ogolsky, B. G., Monk, J. K., Rice, T. M., Theisen, J. C., & Maniotes, C. R. (2017). Relationship maintenance: A review of research on romantic relationships. Journal of Family Theory & Review, 9(3), 275–306.
・Both, F., Hoogendoorn, M., Klein, M., & Treur J. (2008). Modeling the Dynamics of Mood and Depression.

長続きするカップルの特徴も数式的に分析できるかも?

これまで参加して頂いた方からは、「自分のことを客観的に分析できたのが良かった。」「情緒的なことを数式で表現するのが面白かった」など数式にあまり抵抗感なく、楽しんで下さった方が多かったです。

参加者の結果をみると、それぞれの結果がまったく異なっており、個性的な方々が参加してくださったのがわかります。

また、愛のキットの参加者の結果をみてみると、それぞれ独自の関係性を築いていることがわかりました。例えば、同じ性格同士であったり、ひとりは大きな図形になっているがもうひとりは小さな図形であったりと、カップルによってまったく色の種類や図形の形が異なります。

個人的に、長続きするカップルの特徴は、

「一方が大きな図形で、もう一方が小さな図形」

なのではないかと思っています。一方が感情豊かで、他方がどっしり冷静に構えているようだと考えられます。実際体験したカップル(上段右から1個目)に聞いてみると、交際歴6年以上で今もラブラブでした。

サンプル数が少ないので、このイベントのみから長続きするカップルの特徴を断定することは難しいですが…

これまで参加して頂いた皆さんの「愛」のキットの結果

今後、もっとたくさんの人のデータを取ることができれば、長続きするカップルの特徴がわかるのでは?と思っています。
もっと大規模にイベントをやってみたり、反対に個別でやってみるなどの実験を繰り返していきたいと思います。

ゆくゆくは数式アレルギーがある方や苦手意識がある方にも数式の楽しさや美しさを身近に感じてもらえるように、活動していきたいと思います。