数式の美術館

Masaki Kato

「ドラえもん」の数式

2023

 

数式の美術館とは?

私が制作した数式を用いたメディアアート作品群を「数式の美術館」と呼んでいる。

「数式の美術館」は、ダ・ヴィンチに代表されるルネサンス期のように、芸術と科学の垣根がない社会を実現するために生まれた。
ガリレオ ・ガリレイは「自然という書物は数学の言葉で書かれている」と言った。芸術家が絵筆などを使って美しい自然の風景を描くように、数学者や物理学者は数字や文字を使って我々の世界を美しい数式で表現する。

「あらゆるモノを数式で表現する」を目標に、数式で表現される美しい世界の一端を味わえるような作品を制作している。

また、「数式の美術館」の名を冠したSNSアカウント(TikTok, Instagram, Twitter, Youtube)で、作品を発表している。

「ドラえもん」を高校数学の数式で描く

制作風景
制作風景
制作風景
完成した作品

コンセプト

日本が世界に誇るポップカルチャーを象徴するようなアニメのキャラクターを数式的を用いて、表現しました。
普段、数式に馴染みのない方々に向けて数式の面白さや美しさを伝えたいと思い、制作しました。

数式は大学や研究機関などアカデミックな領域に所属している人たちの間で用いられている言わば、特権階級の高尚な言語です。あえて、大衆的なキャラクターを数式で表現することで、一部の人しか使わない(使えない)という状況から数式を解放することを目指している。また、数式を大衆化し公開することで科学と一般社会を繋ぐことを試みています。

このシリーズには、他にも「クレヨンしんちゃんの数式」「サザエさんの数式」などがあります。

制作方法

  1. 元となる画像(今回はドラえもん)を用意
引用元:テレビ朝日(https://www.tv-asahi.co.jp/doraemon/cast/)

2. 数式の作成
元の画像を元に、どの部分にどんな数式が使えるか考えていきます。
今回の場合は、ドラえもんの輪郭は楕円の方程式、口のカーブは放物線の方程式、ひげは直線の方程式でかけそうなどと推測しながら数式を作っていきます。
ドラえもんに使用した数式は以下の直線の方程式、放物線の方程式、楕円の方程式でいずれも、高校数学の範囲です。

$$ y = x $$

$$ y = x^2 $$

$$ \frac{x^2}{a^2} + \frac{y^2}{b^2} =1$$

数式の選定の様子
実際にドラえもんを数式で描いたときの様子

3. ペンプロッターによる描画
自作のプログラムを用いて、数式を元に、ペンプロッターを制御し描画します。
ペンプロッターとはロボットアームの一種で、アームの先端にペンを取り付け、機械的に絵を描く装置です。
ペンの色を変えることで、カラフルな作品を作ることができます。
今回はAxidraw V3というペンプロッターを使用しました。

ペンプロッター(Axidraw V3)
ペンプロッターで描画する様子
ペンプロッターで描画する様子

TikTok, Instagramに投稿した動画

制作を風景をまとめた動画をTikTokとInstagramに投稿しました。
2023年3月現在で、TikTokで270万回再生、Instagramで180万回再生を記録しました。また、シリーズ全体で1000万回以上再生されています。

TikTokに投稿した動画

その他のシリーズ作品

「クレヨンしんちゃんの数式」
「サザエさんの数式」
「ぴえんの数式」
「アーニャの数式」